成功案例

bamboo interviewed

エコカトラリーメーカー新竹金²がProfet AIのAutoMLを導入研究開発効率が20%向上、原材料コストを20%削減

世界的な気候危機が人々の生活に影響を及ぼす中、130余りの国が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、ESGは注目の議題となった。3年前、台湾のエコカトラリーメーカー新竹金²(BAMBOO)は、環境の永続に着目して竹粒子を利用したストローや食器、電子包装材などを相次いで開発し、2022年には世界各国へ竹製ストロー6億本を出荷するまでになった。

新竹金²創業者の徐惇穎氏

新竹金²が国際市場における地位を短期間で確立できた最大の理由は、同社が竹製のストローや食器にカビや異臭を発生させない独自技術を有しているからだ。創業者の徐惇穎氏は、竹は研磨して粉末にした後、一種の天然の接着剤になり、竹の粉末をミクロンレベルまで細かくすると、すばやく水分を除去できるだけでなく、各種の竹の粉末を配合させた竹粒子は様々な分野に応用することができるとし、環境の永続に配慮した全く新しい材料であると説明した。

AIで材料選定の制限克服をサポート

新竹金²が伝統的な農業の生産物であった「竹」を「金」に変えることに成功した重要な鍵は、AI技術が握っている。徐氏は「竹の粉末を製造する技術は難しくない。難しいのは材料(竹)を選定する技術だ」と語る。新竹金²は製品のカーボンフットプリントを削減させるために、研究開発に使用する竹を全て台湾各地から調達しているが、台湾の竹林18.6万ヘクタールには58種類もの竹があり、種類だけでなく地域によって水分の含有量も異なる。さらに、何年に採取されたか、どのくらい保存されていたかなども竹粒子の開発にとって大きな変数となる。

かつてAIを導入する前は、これらの変数の影響を抑えるため、まず手作業で竹の選定を行っていた。ストローや食器に臭いが残ることや、竹を研磨した時に粒子が十分に細かくならないことを防ぐため、匂いが強すぎる緑竹や節が硬すぎる刺竹などは使わなかった。これにより、使用できる竹の割合が大きく低下していた。

杰倫智能科技(Profet AI)のAutoMLツールは、竹の産地、種類、水分の含有量、硬度、色などの変数に基づいてモデルを構築し、最適な竹の粉末の配分を決定することができる。これにより、新竹金²は異なる種類の竹を使用しても、同じ品質の竹の粉末を開発できるようになり、材料選定の制限を突破し、より柔軟に原材料を調達することが可能となった。

AIで竹粒子の配合と製造プロセスを最適化、研究開発効率が20~25%向上

さらにProfet AI のAutoMLツールは、竹の粉末を異なる製品に応用する際の最適な配合と製造プロセスをモデルで予測することができる。これにより、新竹金²は研究開発にかかる時間と労働力を大幅に削減して、効率を20~25%向上させた。

徐氏によれば、竹の粉末はストロー、弁当箱、カップ蓋、カトラリーから、電子包装材や医療用品まで応用範囲が非常に広い。これらの製品は射出成形や圧縮成形などで生産するが、それぞれに対応した竹粒子が必要になる。例えば、電子包装材に使用する竹粒子は、ストローや食器よりも耐熱性が高く、静電気保護と弱酸効果を備えていなければならない。このような特徴を実現するために、竹の粉末の配合を変えてそれぞれに合った竹粒子を作り出す必要がある。

Profet AI のAutoMLツールは、正確な材料の配合を予測することも可能だ。どのような生産条件下であっても、製品がある一定の耐熱性、硬性、脆性を備えなければならない時、それらの特性に最も近づけるために竹の粉末を配合しなければならない。かつてこの作業を人が行っていた時は、15パターンの配合を作ってテストを繰り返し、ようやく理想の特性に近づけることができた。しかしAI導入後は、わずか5パターンの配合によるテストで済むようになり、研究開発とテストの時間は2週間から1週間以内に短縮され、竹粒子の開発における原材料配合の精度も2倍となった。

今後は製造プロセスへのAI応用で良品率を向上

2022年末からAIを導入した新竹金²は当初、在庫量のほか、どの季節にどの製品の補充が必要かを予測したり、新製品の希望価格を決定したりするなど、顧客管理にAIを応用したいと考えていた。その後、Profet AIのコンサルタントとの討論を経て、最大の効果が得られる研究開発に応用することとなった。

徐氏は、新竹金²は全く新しい竹製品を多数研究開発しているが、どちらかというと製造業のIC設計に似ており、ある製品の型を開発した後は外部のメーカーに委託して生産しているとし、Profet AIのおかげで研究開発における失敗が少なくなり、より早く目標を達成し、製品テストの精度を高めることができるようになったと語った。

今後、同社は傘下のメーカーと提携して、AI導入を製品のテスト段階から完成段階まで拡大する予定だ。これにより、製品の良品率を向上させるだけでなく伝統的な農業の枠を突破し、製品の量産化と標準化を進め、さらに再利用可能にして、環境の永続というブルーオーシャンの中で新たな地位を確立することを目指す。

エコカトラリーメーカー新竹金²がProfet AIのAutoMLを導入研究開発効率が20%向上、原材料コストを20%削減 閱讀全文 »

benq interviewed

Profet AI が明基材料(BenQ Materials)のAI導入成功をサポート 20件以上のプロジェクトが短期間で成果を獲得 製造プロセスを改善、生産のボトルネックを突破、8桁台の費用を削減

image1.png

すでに生産が安定期に達した明基材料(BenQ Materials)は、杰倫智能科技(Profet AI)のAutoML(自動化機械学習)プラットフォームによってさらなる高みを目指している。AutoML プラットフォームは最初の研究開発から最後の生産管理まで全てを満足させることが可能だ。重要因子の分析、製造プロセスのパラメーターシミュレーション、材料配分の調整をより容易にし、製造プロセスの改善とボトルネックの突破をサポートする。これにより、BenQ Materialsは企業の競争力向上と同時に、投資コストの大幅低減と効率化を実現した。

「産業材料業」からの転換を積極的に推進するBenQ Materialsは近年、事業分野をパネルディスプレイから医療、自動車にまで拡大した。医療用包材、医療用消耗材、コンタクトレンズなど医療製品はいずれも成長を続けており、2022年第4四半期には衛普実業の株式51%を取得、2023年は不織布と機能ポリエチレンフィルムが新たに加わって医療分野製品の売上高比率はさらに上昇する見通しだ。また、自動車用セパレーターフィルム及びPDLCスマートフィルムが市場に参入する予定で、今後の業績成長が期待できる。

多元的な戦略の下、社外では医療及び自動車事業を展開する一方、社内では技術のアップグレードを強化し、AI応用による良品率の向上と管理の改善に取り組み、組織全体のパフォーマンスを高めている。総経理が多くの責任者の先頭に立って責任者向けの研修を実施し、各部門に技術チームを設置してAI導入を進めた。現在すでに効果が表れ始めており、管理効率を向上させただけでなく、投資コストも大幅に低減させている。

高コストパフォーマンスで柔軟性のあるAIツールと高度なドメイン知識
1年間で8桁台の費用を削減

BenQ Materialsの余清浴偏光板製造センター桃園工場長兼AIプロジェクトマネージャーは、工場がAIを導入してからの時間は長くはなく、2021年に評価を始め、およそ2年間だと語る。当時最も重視したことは「生産の問題を解決する」、つまり生産ラインにおいては歩留まり率を高めることであった。余工場長最初、米国と日本の2つの国際ブランドシステムで工場の問題を解決しようとしたが、導入後まもなく使用をやめてしまった。その理由は、より使いやすいシステムを見つけたからだ。

余工場長は「私たちはより良い、投資収益率がより高い製品を見つけました。Profet AIの製品はコストパフォーマンスがより高く、機能がより優れており、中国語での操作に対応していて私たちのニーズを伝えることができ、高い柔軟性も備えています」と言う。その後、Profet AIとOracleのシステムが工場に導入され、Profet AIが成果を上げたプロジェクト数は20件を超える。

「最初の2つのシステムは海外ブランドではありましたが、結局メーカー1社のために多くのものを調整することは容易ではなかったのです」余工場長はこう指摘する。

企業が重視する投資コストと効率化に関しては、最初の米国と日本の2つのシステムは1年間で合計2000万台湾ドル以上の投資が必要だった。その後導入したProfet AIとOracleのシステムの場合、Profet AI製品は約100万台湾ドル、これにOracle製品を合わせた総投資額は最高200万台湾ドルだ。試算すると、Profet AIシステムの導入によってBenQ Materialsは年間8桁台の費用を削減できたことになる。この成果は企業として満足のいくものだ。

余工場長はまた、製造業がAI導入で最も重視するのはドメイン知識だが、全てのAIが必ずしもそれを備えているわけではないと指摘する。例えば、大量のデータが学術化したモデルに取り込まれた場合、精度は高くなく、ドメイン知識が乏しければ因子の問題を正確に把握できない可能性がある。また、ドメイン知識がないままデータを収集した場合、過程における反復検証で必ず差異が生じる。

AI導入の成功で製造プロセスを改善
生産のボトルネックを突破して材料配分の調整を実行

現在、BenQ MaterialsはAI導入によってどのような成果を得ているのだろうか?余工場長は「製造プロセスが大きく改善されただけでなく、生産のボトルネック突破に成功しました」と言う。BenQ Materialsはかつて生データを使用したランチャートで判断を行っていたが、手元の異常データは数万件にも上り、人の手では時間がかかる上に正確に処理することができなかった。

このほか、短時間で生産ラインの切り換えを実施しなければならない時、パラメーターを調整する必要があり、前後製品の重複する規格の上限と下限が狭くなる。このため、これまではインラインで切り換えるしかなかったが、その過程で材料の廃棄など多くのムダが生まれていた。Profet AIのAutoMLシステム導入後は、生産ラインを中断なしで切り換える方法が採用され、あらかじめ一方で濃度と温度を調整できるようになった。また、人の手による操作では精度が低くなるという問題を解決し、廃棄材料を減少させて、同時に良品率を向上させている。

「材料配分の調整」も、BenQ MaterialsがAI導入によって利益を高めることができた項目だ。開発が必要な新製品が多い一方でデータが少ないが、Profet AIのAIツールで類似したタイプのデータを取得して研究開発に必要な新規格に合わせることができる。さらに、システムのオープンアーキテクチャが使用電力量、温度、炭素税換算などESG関連を含む内外の各段階の使用状況まで必要なデータを全てサポートすることが可能だ。

ニーズと機能を定期的に点検
ユーザーエクスペリエンスを高め続けてウィンウィンを達成

余工場長は、BenQ MaterialsはAIシステム選定において2つの点を考慮したと言う。一つ目は、使用者のニーズに合っていること、二つ目は機能性である。簡単に言えば「買うなら実用的な物を」ということだ。新たなシステムを導入する際、最も良いのは使用面から決定することである。もし単純にIT部門主導で導入を行い、IT部門と生産現場の意思疎通が効果的に行われていなかった場合、何度もシステムを改善しなければならなくなるだろう。

BenQ Materialsは当初の米国と日本のシステムからProfet AIのシステムに切り替えた。最も重要な理由のひとつは、Profet AIが定期的にどの機能の修正が必要か、システム面では何が視覚化のニーズを満足させることができるかを点検していることだ。余工場長は、ニーズと機能を満足させることは基本だが、最も重要なことだと強調する。

Profet AIの余常任セールスディレクターは、BenQ Materialsとの提携において、双方の研究開発チームが期毎に機能研究開発会議を行っており、Profet AIのチームはBenQ Materialsの実際の使用ニーズに対して評価を行い、今後のプロダクトロードマップ計画に反映させていると説明する。これにはデータ点検、材料配分の調整と重要因子分析の統合、設備異常検出機能の改善、オンラインAIモデル管理などが含まれる。

余セールスディレクターは、使用者が必要とする機能の改善と最適化を続け、使用者により適した操作動線を設計し、実際の製造と研究開発の作業フローにマッチさせることでこそ、ウィンウィンを達成することが可能となると語った。

Profet AI が明基材料(BenQ Materials)のAI導入成功をサポート 20件以上のプロジェクトが短期間で成果を獲得 製造プロセスを改善、生産のボトルネックを突破、8桁台の費用を削減 閱讀全文 »

Justin being interview

正新橡膠工業がProfet AIプログラム導入を拡大 1年で100種類以上の重要因子を確認、10余りの部門の重要問題を分析 生産と研究開発の効率、従業員の定着率を向上

台湾・彰化県に本社を構える正新橡膠工業(Maxxis)は、年商39億米ドルで世界トップ10に入るタイヤメーカーだ。乗用車用、軽トラック用、二輪車用、自転車用タイヤなどを生産し、180カ国以上で販売している。2023年初めには、傘下ブランド「MAXXIS」が欧州BMW1シリーズの純正タイヤに選ばれ、台湾のタイヤメーカーとして初めてBMWのサプライチェーン入りを果たした。

正新橡膠工業(Maxxis)が国際大手自動車メーカーに認められた理由は、この数年推進してきた大胆なデジタルトランスフォーメーションにある。2015年、欧州自動車メーカー多社から製品の研究開発時と生産工程における完成品と半製品のテスト結果を記録するように要求されたことから、同社はインダストリー4.0のトランスフォーメーション計画を始動した。世界の生産ラインの自動化を進め、設備のスポットレーザーとラインレーザー、3Dスキャンで収集した製品のサイズ、厚み、温度、圧力などの数値をデータベースに収集するようにした。

しかし、収集したデータは膨大な量となり、既存システムでは効果的なデータ分析ができなくなるという問題に直面した。再三にわたる討論の結果、使い方をマスターしやすく、ユーザーインターフェースも分かりやすい杰倫智能科技(Profet AI)のAutoMLデータサイエンティストプラットフォームを導入することを決定した。

正新橡膠工業(Maxxis)の陳柏嘉最高情報責任者はデータ活用でAI応用を拡大し、世界市場へ展開した経験を語った。

AIでベテラン技術者の経験を保存 製品のライフサイクルを最適化

これまでプラスチック・ゴム産業の従業員は経験に依存してきた。各種材料配分の開発、製造プロセスの改善、原材料の調達に至るまで、ベテラン技術者の経験に頼って問題を解決してきたが、これは正新橡膠工業(Maxxis)も例外ではなかった。この構造を突破するため、同社はAutoMLを導入した。AutoMLによってベテラン技術者の経験とデータを活用し、AIでモデルを構築して重要な経験を会社に保存し、製品と研究開発から生産までの製造プロセスのライフサイクルを最適化することを目指したのだ。

「AI導入の理由は、以前は生産ライン上のデータを人が分析していたため、リアルタイムのフィードバックが非常に困難だったためだ」正新橡膠工業(Maxxis)の陳柏嘉最高情報責任者はこう話す。かつては各顧客や市場の需要に応じ、年配の技術者やベテラン従業員に頼って設備の生産パラメーターを調整していたが、例えば、タイヤの幅の増減がどのような結果を生むのかについて、設備が収集したデータからシステム的に分析することはほぼできなかった。AutoMLを導入後、AI分析で製造プロセスに影響する重要因子を見つけ出して効率を向上できただけでなく、AI分析パラメーターが構築したモデルを海外工場に応用することで、作業員を派遣する必要が減り、工場拡張のスピードを加速することが可能となった。

製品の研究開発も、正新橡膠工業(Maxxis)のAI導入の重要ポイントだった。「タイヤはある種条件の厳しい製品で、タイヤ1本の研究開発には2年以上かかり、100種類以上の原材料が必要となる」陳最高情報責任者は、研究開発部門がAutoMLを導入してちょうど1年だが、タイヤ製造の100種類以上の因子から、タイヤの燃費、ウェットグリップ性能、ブレーキ時の制動距離など性能に影響する重要因子、例えば接着剤の種類、銅線の幅や種類、配列密度などをすでに数十種類を見つけ出したと語った。

重要因子を見つけ出した後、正新橡膠工業(Maxxis)はこれらを利用して国内外自動車メーカーと市場の需要に応じ、AIでモデル構築を行い、メーカーや市場の需要に合った、またはそれを超える製品を研究開発することが可能となった。例えば、スポーツカーはウェットグリップ性能が高い製品が求められ、ハイブリット車は転がり抵抗が低く静かな製品が求められる。

AI応用を拡大 各部門の問題の背後にあるデータを棚卸し

生産と研究開発でAI導入の効果を知った正新橡膠工業(Maxxis)は、2023年からAI応用拡大に着手し、人事や販売など国内外10余りの部門へのAutoML導入を開始した。

各部門でのスピーディーなAIマスターをサポートするため、Profet AIはコンサルタントを派遣してAI応用のワークショップを実施した。陳最高情報責任者は、3カ月の訓練期間の中でProfet AIのコンサルタントはAIの基礎概念から入り、じっくり各部門との討論を進め、直面している問題を整理し、問題の背後にある分析可能なデータを棚卸ししたと話す。今後データからモデルを構築し、改善や最適化の方向性を見つけ出すことが可能となる。

陳最高情報責任者は「幹部候補の育成のように、新たなシステムを導入するITスタッフの負担を大幅に軽減できる」と指摘する。これらの訓練課程によって、各部門がAutoMLをスピーディーにマスターできただけでなく、学習曲線や意欲も高くなった。

デジタルトランスフォーメーションは一気に完成できるものではない。正新橡膠工業(Maxxis)はAI応用を点から線、そして面へと拡大していき、各部門の第一線で働く従業員がデータを収集し、理解し、解読し、活用できるようにした。これによって同社はデジタル化を加速させただけでなく、世界市場に確固たる基礎を打ち建てたのだ。

正新橡膠工業がProfet AIプログラム導入を拡大 1年で100種類以上の重要因子を確認、10余りの部門の重要問題を分析 生産と研究開発の効率、従業員の定着率を向上 閱讀全文 »

亞炬企業營運長許弘翰

AI導入で設備をより賢く 亜炬企業がスマートモニタリングシステムで メンテナンス業務の売上高アップ

亜炬企業(Asia Giant)は30年以上の製造とメンテナンスの経験を持ち、台湾で名を知られている従来型の機械設備メーカーで、台湾化学工業産業の上場メーカーを主要顧客とする。近年、新たな従業員の確保が難しく、ベテラン従業員が相次いで定年を迎えるという二重の圧力の下、積極的にスマート製造を推進している。同社はAIでベテラン技術者の経験をデータ化して、設備をより優れたものとするのと同時に、メンテナンス業務の売上高も大幅に増加させた。さらに、スマートモニタリングサービスを設備に導入して、従来型の化学工業産業においてAI応用をリードする存在となった。

亜炬企業のAI応用推進の重要な担い手となったのは、同社の許弘翰最高執行責任者(COO)だ。2020年に二代目として経営を引き継いでまもなく、ベテラン技術者の多数が定年を迎えるという難題に直面した。「かつてのベテラン技術者は積み重ねた経験を通じて、『聞く』または『感覚』で設備の問題点や部品の故障を判断しており、拠り所となるデータは一切なかった」と許COOは語る。ベテラン技術者の経験は量化や口述で残すことが不可能であると気づき、許COOはいかにAI導入によって経験と技術をデータ化し、伝承するかを考え始めたという。

プログラミングの知識は不要 簡単にAI応用をマスター

AIプラットフォームの導入を決定後、許COOは市場の関連するソリューションを調査し始めた。そして選んだのが、すばやく設置し、簡単にマスターできる杰倫智能科技(Profet AI)のAutoML(自動機械学習)プラットフォームだった。
「別途プログラミングを学ぶ必要がなかったのが最大の魅力だった」許COOはこう率直に話す。Profet AIの製品はプログラミングの知識は不要で、ExcelファイルのデータをAutoMLプラットフォームに入力するだけで、問題の重要因子を見つけ出すことが可能だ。これは従来型産業にとって非常に助けとなる。多くの時間を費やして新たに学習する必要なく、求める答えが短時間で手に入るからだ。

亞炬企業許營運長展示 Profet AI 平台與旗下硬體設備的結合
「別途プログラミングを学ぶ必要がなかったのが最大の魅力だった」許COOはこう率直に話す

また、Profet AIの熱心なコンサルタントがAIの基礎概念をシェアし、問題の背後にある分析可能なデータの棚卸しを行って、データからモデルを構築した後、改善や最適化の方向を見つけ出せるようサポートした。さらにコンサルタントは、いかに従来型の機械設備とAI及びIoTを統合して、信頼度と効率を高めるかをシェアし、亜炬企業はより短期間でAI導入を実現することができた。同社は現在もProfet AIのコンサルタントと次なるAI応用の方向性について討論を続けている。

Profet AI のAutoML導入 メンテナンス業務の売上高が30%アップ

設備の研究開発と生産、販売を主要業務とする亜炬企業だが、AI応用は設備のメンテナンス業務から着手することにした。

まず、設備にセンサーを設置して、収集したデータと連続データからProfet AIのプラットフォームがモデルを構築し、データの周波数に大きな起伏、または突然の高低など異常が発生していないか判定する。その後、ベテラン技術者に設備の問題点や部品の故障を判断してもらう。以後、同様の異常な周波数が確認された時、AIは自動的に学習して事前警告を行うことができる。例えば、データの周波数が突然低くなった場合、ベアリングがまもなく損壊することを示している可能性があるので、事前に設備の稼働を停止してメンテナンスや部品交換を行うことが可能だ。実際に設備が壊れてしまってからメンテナンスすると、化学原材料の消耗や廃棄物の処理で数百万から数千万米ドルのコストがかかってしまう恐れがある。

許COOは「人に頼るのは受け身だ」と言う。設備が壊れてしまってから作業員による点検や修理、緊急処理を行うと、臨時の労働力調整によってマンパワーが不足してしまうだけでなく、損失した原材料や故障した部品の調達と交換にも時間がかかるため、すぐに稼働を再開することは不可能だ。設備と生産ラインの稼働を回復するために、マンパワーと時間を浪費することとなる。

Profet AIのプラットフォーム導入後、亜炬企業のメンテナンス業務の効率とサービス品質は大幅に向上した。顧客に対して事前に警告し、翌月のある期間に作業を停止するように依頼して、損壊の可能性のある部品の交換またはメンテナンスを行うことができる。これによってマンパワーを有効に配置できるだけでなく、部品をあらかじめ準備することもでき、顧客も化学原材料を無駄にすることを避けられる。許COOは、AI導入後の1年でメンテナンス人員の作業効率は50%向上、売上高は30%増加したと見積もる。

AIスマートモニタリングシステムを設備に統合 受注が4割成長

メンテナンス業務でAI導入の効果を確認した後、亜炬企業はスマートモニタリングシステムとその他設備の統合を開始し、2022年5月の「高雄自動化工業展/高雄国際儀器化工展」で、初めてProfet AIのシステムを搭載した「スマート昇降式撹拌装置」をリリースした。

結合 Profet AI 系統的智能升降攪拌機械設備
初めてProfet AIのシステムを搭載した「スマート昇降式撹拌装置」をリリースした。

許COOは、この革新的な設備はコアパーツを通じて構築したセンサー搭載のスマートモニタリングシステムで、撹拌過程のデータをリアルタイムで確認し、部品の摩耗を追跡できると説明する。異常な数値を発見すると事前警告を発し、亜炬企業が顧客に合わせたメンテナンスサービスをただちに提供する。これによって、顧客は突発的な故障発生にかかるマンパワーと時間を大幅に節約して、生産効率を高めることが可能となる。

この「スマート昇降式撹拌装置」はその後、化学産業におけるAI応用の扉を開くこととなった。長期にわたって取引のある顧客から、古い設備にスマートモニタリングシステムを搭載できないかと問い合わせを受けたほか、多くの製薬メーカーがリモートで設備内の化学品の温度や圧力、揮発性有機化合物(VOC)の漏洩など異常を確認するためにこのシステムを設備に搭載したいと興味を示すようになった。統計によれば、2023年の亜炬企業のAIスマートモニタリングシステム搭載設備の受注は前年比4割成長した。
より多くの設備を優れたものとし、設備とAIソフトウエア及びハードウエアの統合を加速させるため、亜炬企業は応用サービス部門を設立した。許COOは、今後より多くのAI人材を採用して、台湾化学工業におけるAI応用の総合プラットフォームとなり、顧客にAI応用とソリューションを提供するゲートキーパーとして、従来型メーカーのスマート製造参入をサポートしていきたいと語った。

AI導入で設備をより賢く 亜炬企業がスマートモニタリングシステムで メンテナンス業務の売上高アップ 閱讀全文 »

連展投控總經理室資深特助郭迺文與連展投控資訊長詹長霖

電子部品の連展グループがデジタルトランスフォーメーションを達成 「サンドイッチの法則」で1年400件以上のAIプロジェクトを実行

Acon sharing success stories on AI
連展科技の郭迺文経理室シニアスペシャルアシスタント(左)と詹長霖イノベーションアドバイザー(右)

人工知能(AI)ブームの中、海外の大手ハイテクメーカーだけでなく、台湾の多くの企業もAI導入に取り組むようになった。AIは台湾の多様な産業に変革と新たなチャンスをもたらし、産業のアップグレードにおいて重要な役割を担っている。設立36年を迎え、IT、デジタル家電及びハンドヘルドデバイス向け電子部品の設計、製造、販売を手掛ける連展科技純粋持株会社(ACON-HOLDING)は、近年AI導入による「成長」計画を推進しており、2022年には「デジタルトランスフォーメーション元年」戦略を策定した。郭迺文経理室シニアスペシャルアシスタントは、同社ではグループの全従業員が毎週木曜午前11時から12時までデジタルトランスフォーメーションのビデオプログラムに参加することが義務づけられており、産業のトレンドに遅れをとらないようにしていると述べた。

かつて、コネクタのような電子部品は情報通信産業の顧客に依存していたが、近年EV、グリーンエネルギー、スマート医療、AIoT工業、5G及び高速通信など3C(パソコン、スマートフォン、家電等)以外の分野が発展し、電子部品の新たな応用需要が拡大した。高付加価値の商機を生み出すため、現在これらの分野が連展グループの主要なターゲットとなっている。

12年前から生産フローのデジタル化を推進
連展グループのデジタル化の歩みについて語る郭迺文経理室シニアスペシャルアシスタント
連展グループのデジタル化の歩みについて語る郭迺文経理室シニアスペシャルアシスタント

郭経理室シニアスペシャルアシスタントは、連展グループは12年前にAPIの導入を開始して生産フローの改善と最適化を図ってきたとし、2016~2018年の間にテストと製造の自動化を通じて大幅なアップグレードを行ったと語る。

そして直近2年では、陳鴻儀総経理の下で「デジタルトランスフォーメーション委員会」が設立され、自動化によるデータ累積の改善、デジタル化のさらなる推進、作業効率と品質の全面的な向上に取り組み、新たなビジネスモデルを構築した。同社がAI導入に着手したのは、この段階からだ。

デジタルトランスフォーメーションが成功するか否かについて、陳総経理は4つのポイントがあると考えている。一つ目は、AIを組織文化の一部分とし、デジタルトランスフォーメーションを一種の思想、一種の習慣として、仕事の中に徹底的に溶け込ませることだ。二つ目は、主管の参画度を重視し、上の者が実行して下の者がそれにならうことで組織全体に浸透させること。三つ目は社内外のリソースを活用して、直接使用できるツールを見つけ出し、より速く、より効率的に推進することだ。最後は、PDCAの管理方法で、デジタルトランスフォーメーションを確実に実行する。各部門が関連する作業項目を決定し、ただちに結果を出せる具体的なケースを見つけ出して取り組み、奨励制度や相互学習によって前向きなムードを作り出す必要がある。

デジタルトランスフォーメーションを持って生まれた文化として根付かせる

連展科技の詹長霖イノベーションアドバイザーは、同社は経営陣もデジタルトランスフォーメーションを非常に支持しており、新たなツールが新たな思考をもたらすと考えていると述べた。連展科技はデジタルトランスフォーメーションを推進する際、一般企業のようなトップダウンではなく、「サンドイッチの法則」を採用した。一般社員もデジタル化プロジェクトに参加させることで、上層と下層が共通のデジタル言語を持つようにし、デジタルトランスフォーメーションコンテストを毎期実施している。

連展科技が構築したデジタルトランスフォーメーション文化について語る詹長霖イノベーションアドバイザー
連展科技が構築したデジタルトランスフォーメーション文化について語る詹長霖イノベーションアドバイザー

詹イノベーションアドバイザーは、なかでも印象的だったのは「バーチャルメトロロジー」だと振り返る。バーチャルメトロロジーが登場して、デジタル・ツイン(Digital Twin)、デジタル工場、バーチャルワークショップが可能となったが、これがなければスピーディーに現場の技術を他の工場にコピーすることはできない。正確な製造も重要だが、AIツールを応用すればライバルとの距離を大きく開くことができると詹イノベーションアドバイザーは語った。

簡単なステップで経営を全面的にデジタル化

連展科技はデジタルトランスフォーメーションを推進する中で、ツールの応用性が低く、統計やソフトウエアのマスターも困難であったことが、目標達成の障害となった。そこで2022年下半期、杰倫智能 (Profet AI)と提携してProfet AI AutoMLワークショップを2回開催し、AI人材育成を開始した。3年以内に1000人のデジタル人材を創出することを目指している。

このデジタルトランスフォーメーションは多くの成果を生んだ。連展科技は1年足らずで677件のデジタル化プロジェクトを実行し、このうちProfet AIプラットフォームを使用したプロジェクトが470件で7割以上を占めた。このほか、同社はProfet AIのコンサルティングのサポートで240人からなるデジタルチームを有し、生産、販売、人事、研究開発、財務までAIデモクラシーを達成している。

Profet AIの余常任世界業務総経理は、Profet AI AutoMLプラットフォームは製造業でよく使用される機械学習アルゴリズムを提供することで、使用者がすばやくオンラインで操作できるようになると説明する。経験やIT知識がない使用者もすぐにマスターし、共通言語を使用して5つのステップで操作を完了することが可能だ。連展グループは、AIを導入した新たなビジネスモデルによって、生産の最適化だけでなく管理品質の向上も実現した。

詹イノベーションアドバイザーは、かつて時間をかけて経験を磨く必要があった新たなツールの導入が、ハイテクによる自動化によってよりスピーディーになったものの、科学データの累積が不足しており、数学モデルの使用も容易ではなかったため、自動化によってできることは多くが分類だけだったと指摘する。しかし、Profet AIのAutoML導入後は、すばやく本来設定した目標を達成し、競争力を向上させることができるようになったと述べた。

陳総経理は、企業は競争力を持ち、持続可能な経営を行い、より幅広くより深いデジタルトランスフォーメーションを実行しなければならないと強調した。現在の産業は、フローの変化が複雑になっているだけでなく、ビジネスモデルの変化もスピーディーだ。このため、企業は正しいツールを十分に利用してデジタルトランスフォーメーションを達成し、競争力を高めなければならない。連展グループのAI応用は流行を追うためではなく、他社よりもより良い企業となるという志を叶えるためのものなのだ。

電子部品の連展グループがデジタルトランスフォーメーションを達成 「サンドイッチの法則」で1年400件以上のAIプロジェクトを実行 閱讀全文 »