AIが「答える存在」から「業務を担う存在」へ
企業がエイジェント型AIへと向かう理由
個人の生産性向上から、企業DXへ。そこに横たわるギャップ
近年、生成AIは私たちの働き方に大きな変化をもたらしてきました。文書作成、情報整理、コンテンツ生成などの領域において、ChatGPTをはじめとする汎用AIは、個人レベルでは明確な生産性向上を実現しています。
一方、企業全体への導入状況を見ると、異なる現実が浮かび上がります。Google Cloudが発表した「The ROI of AI 2025」によると、9割以上の企業がAIプロジェクトを開始しているものの、その多くはPoC(概念実証)の段階にとどまっています。AIを基幹業務に組み込み、継続的かつ定量的な成果を生み出している企業は、依然として一部に限られています。
この結果が示しているのは、企業がDXの文脈で求めるAIと、対話型AIとの役割の違いです。
問題の本質:「対話するAI」から「行動するAI」への転換
モデルの性能が進化し続ける中で、なぜ企業AIは本格展開に進めないのでしょうか。
多くのPoCを俯瞰すると、AIは主に質問応答、文章生成、示唆の提供といった用途にとどまっています。これは、ChatGPTに代表される「AIは応答する存在」という設計思想の延長線上にあります。
しかし、実際の業務現場で求められているのは、それ以上の役割です。企業がAIに期待しているのは、
- 実行に結びつく判断:示唆が具体的な業務アクションに落ちること
- 業務プロセスとの連携:複数の社内システムや部門をまたいで動作すること
- 責任と統制:判断や結果を後から検証・修正できること
対話品質を重視して設計されたAIに、権限管理や業務フロー、責任の所在までを担わせようとすれば、限界が生じるのは自然です。PoCでは成果が見えても、本番環境に展開できない背景には、この構造的なギャップがあります。
エイジェント型AIが再定義する、企業におけるAIの役割
こうした課題に対する解として注目されているのが、エイジェント型AIです。
エイジェント型AIは、単に高度な文章を生成するAIではありません。人の監督と明確なルールのもとで、業務タスクを自律的に計画し、実行するAIとして設計されています。
この考え方は、企業におけるAIの位置づけを根本から変えていきます。
1. データ参照から「権限を持つ実行主体」へ
これまでの企業AI活用では、「どのデータにアクセスできるか」が主な論点でした。しかし、DXの現場で重要なのは、「データをいかに安全かつ統制された形で業務に活かせるか」です。
企業の知見は、ERP、CRM、社内SOP、過去の取引履歴など、強い業務文脈と機密性を伴って蓄積されています。AIが業務に関与する以上、次の二点が欠かせません。
- 業務文脈を理解したうえで判断できること
- データ利用がガバナンス・セキュリティ要件を満たしていること
エイジェント型AIでは、AIは単なる検索ツールではなく、認可された業務システムの一部として振る舞います。権限管理と統制のもと、APIや業務フローを通じて、許可された操作のみを実行します。
これにより、AIの行動範囲は明確になり、企業はデータ主権を保ったまま、段階的にAI活用を拡張できます。
2. 示唆提供から「業務完遂」へ
汎用AIの価値は、分析や助言にあります。しかしDXの目的は、あくまで業務成果です。
例えば、
- 在庫分析を起点に、補充依頼を自動生成し、購買プロセスへ連携する
- 設備状態の判断後、保全チケットを発行し、関係者へ通知する
- 条件成立時に、ステータス更新や承認フローを自動的に起動する
エイジェント型AIは、こうした「判断から実行まで」を業務フローとして完結させます。フロー設計、ツール連携、システム統合を通じて、AIは業務を実際に前へ進める存在となります。重要な工程では人による確認を残すことで、効率とリスクのバランスも確保できます。
この段階で、AIは助言者ではなく、業務プロセスを担う主体となります。
3. ブラックボックスから「統治可能な意思決定」へ
AIが基幹業務に近づくほど、信頼性と説明責任への要求は高まります。
確率的に文章を生成する汎用AIは、もっともらしく見えても根拠が不十分な出力を行う可能性があります。これは、経営判断や重要業務においては大きなリスクです。
エイジェント型AIでは、意思決定がガバナンスの枠組みに組み込まれます。
- 企業が認可したデータのみに基づく判断
- 判断根拠や参照情報の追跡が可能
- プロセスと結果の監査が可能
- 情報不足時には「実行しない」選択が可能
信頼は、表現の巧みさではなく、再現性・予測可能性・検証可能性によって築かれます。これこそが、AIを実験で終わらせず、長期的な業務基盤として活用するための条件です。
スケールこそが、ROIの分岐点
Google Cloudの調査は、AIのROIが導入の「深さ」と強く相関していることを示しています。
エイジェント型AIを早期に導入した企業の8割以上が、明確なビジネス成果を確認しています。これらの企業に共通するのは、AIを単なる支援ツールではなく、スケール可能なデジタル労働力として位置づけている点です。
AIが統制された環境のもとで自律的に業務を完遂できて初めて、企業は効率化を超えた「業務自動化」と「持続的な価値創出」を実現できます。
結論:企業DXの競争力は「業務への深い統合」で決まる
GPTからエイジェント型AIへの進化は、企業のAI活用が実務フェーズへと移行していることを示しています。正しい答えを返すだけでなく、安全に業務を完了できるAIが求められる今、既存業務との深い統合こそが競争力の源泉となります。
プロフェトAIのAIスタジオは、こうした企業ニーズに応えるために設計された、エイジェント型AIのためのエンタープライズ基盤です。ノーコードによる業務フロー設計と厳格な権限・ガバナンス管理により、AIを安心して業務に組み込むことができます。
対話型AIから実行型AIへ。プロフェトAIは、日々の業務を「蓄積され続ける企業知」へと変換し、AIを企業の持続的な競争力へと進化させます。