北科大 × Profet AIバンコクで「AI理論から価値実践へ」フォーラムを開催
製造現場におけるAI活用と Domain Twin™ の実践知を共有
2026年3月7日、国立台北科技大学タイEMBA校友会は、バンコクにて「AI理論から価値創出へ」フォーラムを開催しました。
本フォーラムには、国立台北科技大学 管理学院院長・范書愷教授、および Profet AI(杰倫智能)CEO特別補佐 James Yang 氏が登壇。Delta Electronics Thailand、Cal-Comp Electronics、Chicony Electronics など、タイに進出する台湾系製造企業を中心に、約100名の経営層・技術者が参加し、製造業におけるAI活用と実装戦略について活発な議論が行われました。
世界的なサプライチェーン再編と東南アジアにおける製造拠点拡大が進む中、AIは生産性向上や品質管理高度化を支える重要技術として注目を集めています。本フォーラムでは、「AI理論から価値創出へ」をテーマに、学術研究・産業トレンド・実際の導入事例という3つの視点から、AIがどのように製造現場へ浸透していくのかについて議論が交わされました。
製造現場で進むAI活用
前半セッションでは、范書愷教授がスマート製造領域におけるAI研究成果を紹介しました。
マルチモーダルLLMを活用した不良検知・異常診断や、AIエージェントによるエンジニア業務支援など、具体的な応用事例が共有されました。
画像・言語・製造データを統合することで、AIが製品不良を自動識別し、その要因分析まで実施できるようになり、品質検査効率の大幅な向上が可能になると説明。また、ERPシステムとの連携により、メール内容を構造化データへ変換し、自動的に受発注フローへ反映させるなど、業務自動化の可能性についても紹介されました。
范教授は次のように述べています。
「企業がAI導入によって真の価値を生み出すためには、単にモデルを導入するだけでは不十分です。AIを企業の中核システムや業務プロセスへ深く組み込み、AIエージェントが意思決定や実行に関与してこそ、本当の価値が生まれます。」
Domain Twin™:熟練者の知見を「企業の資産」へ
後半では、Profet AI の James Yang 氏が、企業向けAIプラットフォームの実装経験と、「Domain Twin™」のコンセプトについて紹介しました。
Domain Twin™ は、企業内に蓄積された専門知識や意思決定ノウハウを、管理可能・再利用可能・進化可能なAI能力へ変換するコンセプトです。グローバル展開や海外工場立ち上げ時にも、本社の know-how を迅速に展開・継承できる仕組みとして注目されています。
James Yang 氏は、グローバル化と少子高齢化が進む中、製造業は次の3つの課題に直面していると説明しました。
- 熟練技術者への依存からの脱却(ノウハウのデジタル化)
- 海外拠点への技術移転の迅速化(本社知見の再現)
- 若手エンジニア育成の加速(生産能力拡大への対応)
こうした課題に対し、Profet AI は Domain Twin™ を通じて、企業内 know-how の蓄積・継承・展開を支援しています。
Profet AI は、AutoML による製造予測モデル構築、AILM(AI Lifecycle Management)によるAIガバナンスおよび知識管理、さらに AI Studio によるAIアプリケーション化を通じ、企業内 know-how を日常業務へ組み込む仕組みを提供しています。
これらのモデルはAIエージェントとして現場で利用可能となり、品質分析、異常診断、設備保全などをリアルタイムで支援。AIを単なる分析ツールではなく、日常業務に組み込まれた“業務パートナー”として活用するアプローチが紹介されました。
James Yang 氏は次のように述べています。
「製造業の真の競争力は、現場に蓄積された Domain Know-how にあります。Domain Twin™ の目的は、熟練者の経験やベストプラクティスをAIへ変換し、企業全体で継承・拡張・再利用できる状態をつくることです。」
AI導入による実際の生産ライン改善
フォーラムでは、Profet AI の製造業導入事例についても共有されました。
AutoML を用いて製造予測モデルを構築した結果、塗装品質へ影響を与える主要因として、製品重量・塗料配合比率・湿度条件などが特定されました。
AIモデル導入後は、パラメータ最適化を通じて、
- 生産ライン効率:約15%向上
- 製品不良率:約35%削減
といった成果が確認され、AIが単なる理論に留まらず、実際の製造現場で具体的な価値を生み出していることが紹介されました。
また、AI Studio を通じてこれらのモデルをAIエージェントとして業務フローへ統合することで、現場エンジニアがより迅速かつ正確に問題分析や意思決定を行える環境も実現されています。
【会場Q&A】製造業が求めるAI実装の現実解
フォーラム終盤のQ&Aセッションでは、参加した企業の経営層やエンジニアから多くの質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
参加企業からは、「AIを導入しなければ将来的な競争力に影響するのではないか」といった危機感や、現場での具体的な導入ステップに関する関心も多く寄せられました。
これに対し登壇者たちは、AI導入は“最初から大規模なAI組織を構築すること”ではなく、“最も重要な課題から着実に取り組むこと”が重要だと説明。特に、品質改善や歩留まり向上など、成果を可視化しやすいテーマから着手することで、持続可能なAI活用につながると語りました。
James Yang 氏はQ&Aの中で次のように締めくくりました。
「企業がAI導入を進める上で、ゼロから高度な技術チームを構築する必要はありません。重要なのは、自社にとって本当に解決すべき課題を見極めることです。AIが生産性、品質、意思決定スピードの向上に直結したとき、それは単なる技術ではなく、企業競争力そのものになります。」
本フォーラムは、最新のAIトレンドだけでなく、現実的な導入ステップや現場活用の具体例までを提示し、タイに進出する製造業各社の高い関心を集めるイベントとなりました。